菱信工業株式会社 冷凍・空調装置の販売、設計、施工、メンテナンス

会社情報

8年くらい前 「老人ホーム新築工事」の工事担当になるように上司から言われました。
その頃私はサービス業務を担当していたので、工事業務の知識は全くない状態でした。
工事が決まったのが、現場がすでに始まっていた時期で、すぐに工事に取り掛からないといけない状態でした。
全体工期が決まっている為、それまでには絶対完了しないといけません。
毎日大変でした。設計図はありましたが、施工図は自分たちで作らないといけなかったので、図面を描いては、
現場に行くという繰り返しでした。
そもそも施工図を描いたのが初めてでした。
現場が終わってから会社に戻って、それから図面を描いていました。
現場は日曜日がお休みなので、出勤して描いていましたね。休みもほとんどない状態でした。
元請さんが自分の業者を使いたいと菱信工業を指名した為、建築業者の中では、うちが一番最後に参加したような感じだったので、
他の業者さんともコミュニケーションがとれないまま、勝手もわからず、工期だけが容赦なく過ぎて行きました。
監督さんはとても厳しく、顔を見るだけで何か怒られるのではないかと、常にびくびくしていました。
元請さんからは怒られるし、業者さんからは詰め寄られるしで、最初の2ヶ月くらいは不安で不安で胃が痛くなる毎日でした。
いつ「もう無理です」と言おうかと思っていました。 

一生懸命図面を描いても、必ず図面通りにはいきませんでした。
予定していた職人さんが急に来れなくなる事がありました。
職人さんが来ない日は自分でやるしかありませんでした。
ダクトや配管を通すスリーブという穴をあける間隔が建築基準法で定められているのですが、
それを知らずに図面を描いてしまい全部だめになった事もありました。
監督さんからは、「そんな事も知らないのか」と激しく怒られてしまい、とても焦りました。
お客様の立場になると言われて当然です。責任感の強い監督さんでした。
次の日が気になって、眠れない日々が続きました。

工期が半分すぎた頃から、現場の流れがわかり始めてきたんです。
他の業者の方とも、コミュニケーションがとれるようになってきました。
少し灯りが見え始めてきて、嬉しかったですね。
もしかして、出来るかも!という自信がでてきました。
図面を書くスピードも上がっていきました。
その頃から社内のみんなが手伝ってくれるようになりました。
特に新入社員はCADができたので、図面の修正を主に手伝ってくれました。本当に助かりました。
そんなある日、会社の仲間に「今晩飲みに行くぞ」と誘われました。
正直、そんな時間があったら明日の準備をしたいと思っていました。
でもせっかく誘ってもらったんだしと思い、気晴らしに出かけました。
お店についてビックリしました。
飲み会の趣旨が私を励ます会だったんです。
会社の同僚だけでなく、仲のいい業者さんも集まってくれていて本当にすごく嬉しかったです。
そして、皆さんの協力があり、無事に予定通りに工事が完了しました。
老人ホームの新築工事で、何もないところから日に日に形になっていく現場を経験したのは初めてだったので、
私自身とても成長できたと思います。

オーナーさんや一般の方も見学に来られる「内覧会」に私も参加させてもらった時のことです。
あんなに厳しかった監督さんから、握手を求められ、
一言「ありがとう」と言われました。何よりも嬉しく、
頑張ってきてよかったと思いました。苦労や努力が報われた瞬間です。
大工さんにもいっぱい怒られましたが、最後は認めてくれました。
皆さんの支えとやり抜く気持ちを持ち続けた結果が、この喜びに繋がっていると思いました。

そして、完成1ヶ月後、新聞に現場の写真が載っていたのを偶然に見つけました。
オール電化の紹介で、「空調のバリアフリー」と書かれており、
家族もびっくりしてました。
随分心配をかけていましたから「俺がやった現場なんだ」と、ちょっと誇らしい気持ちでした。

あの現場を経験したら、どんな現場でもやれるという自信がつきました。
経験を積んだ今ならもっと楽にできたかもしれません。随分打たれ強くなりました。
今はあれ以上苦労する現場はありません。
その後私は長野営業所へ3年間転勤しサービス業務、工事業務、営業と幅広い経験を積んだ事が、
自分の成長に大きくつながったと思います。
最近担当した現場では、提案から自分が行ったので、お客様に採用され、施工・工事と進めていく時に、気持ちに余裕がありました。
今は、新入社員に私が経験したような状態にさせる事はありません。
しかし研修や講習では教えてあげられない事なので現場へ一人で行って苦労することは必要なのかもしれません。
壁にぶち当たり、自分で乗り越えていくことで、成長するのだと思います。
人間的に成長するためには、厳しいものから逃げずに向かって行って欲しい。
その時に一番大切な事は、やはり「やり抜く力」だと思います。

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